例えば、病気やけがで初めて医療機関にかかったときに算定される初診料は、経験の浅い医師だろうが、大学病院の教授だろうが全国一律同一価格だ。

 同じ病気やけがで2回目以降の診察に対しての対価は、200床未満の病院と診療所では「再診料」、200床以上の病院では「外来診療料」として算定する。診療報酬点数は1点当たり10円だが、外来診療料は2024年11月現在76点で、再診料(75点)より10円高い。

 これは、200床以上の病院が診療所や中小病院よりレベルが高いからではなく、外来診療料には、小さいけがの処置、血液検査、尿検査など基本的な検査や処置の金額まで含まれているからだ。

 200床未満の病院や診療所の再診料の場合は、医学的な管理を行った場合の外来管理加算や検査料などが算定できるので、実は、診療所や中小病院の方が外来診療の報酬は多くなる。

 結果的に200床以上の病院の再診料は、患者から見たら安価でリーズナブルな金額になる。

無駄な検査をすればするほど
医療機関が儲かる仕組み

 外来を診療所や中小病院に集中させるという名目で、こういった診療報酬体系になっているわけだが、診療所重視の診療報酬が導入されて以降、病院の敷地内にクリニックを開設して外来の診療収入が下がらないようにしたところもある。

 本当にこれが患者のためなのか、医療費膨張に拍車をかけていないのか、検証が必要だ。

 私の専門分野である脳神経外科手術の診療報酬についても、経験豊富なスーパー外科医も経験の浅い外科医であっても同じ手術なら同価格だ。研鑽を積み、手術成績が良好で合併症の少ない外科医のドクターフィーのようなものはない。

 急性期病院に入院したときの入院基本料は、患者の人数対看護師の人数などが基準になっており、地価や人件費の高い都会だろうが、地価と人件費が安い地域だろうが、すべて一緒なのだ。

 そして、外来診療は、検査や薬の処方をしたらその金額を請求できる出来高払い方式なので、必要のない検査や投薬をしない良心的な医師より、検査や薬の処方をたくさんする医師のいる医療機関の方が収入は増えるようになっている。