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健康のためにジョギングをする、山に登る……中高年やシニアの体力作りや健康維持に良さそうな習慣が、思わぬ死を招くことがある。法医学者として多数のご遺体を解剖してきた高木徹也氏は、登山やジョギング、山菜採りといったアクティブな行動の裏に、意外なリスクが潜んでいると指摘する。趣味を続けるために、知っておくべきポイントとは?※本稿は、高木徹也『こんなことで、死にたくなかった 法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」』(三笠書房)の一部を抜粋・編集したものです。

健康的な生活を目指したのに
ジョギングで死ぬ

 朝夕にふと外に出てみると、ジョギングしている人をよく見かけます。老若男女、分け隔てなく、走ることが好きな人はたくさんいるようです。市民参加型のマラソン大会も日本各地で開催されていますし、シューズやウエアさえあればどこでもできる手軽さもいいのでしょう。それに、ジョギングをしている人を見て「不健康だなあ」なんて思う人はいませんよね。

 もちろん、走り方や走る距離、時間などが適切であれば健康に役立つことは間違いありません。しかし、無理をすれば、命を落とす危険性もはらんでいるのです。

 健康に役立つとしてジョギングを広く普及させたのは、アメリカのノンフィクション作家ジェイムス・フラー・フィックスだとされています。ところが、当の本人は、皮肉にもジョギング中に心筋梗塞で倒れて亡くなっているのです。

 2024年に開催された東京マラソンでも、69歳のランナーが転倒後に死亡しました。各地の大会でも、心肺停止に陥ったランナーがAEDによって一命を取り留めた、もしくは亡くなってしまったというケースが多数報告されています。