「結局、本人がそのうち『大変過ぎるわ』と言って自分からやめたのよ。ときめいたのはいいんだけれど、高齢というのもあって一日中『ああしたほうがいいかしら?こうしたほうがいいかしら?』『私のことをこう思っているかしら?それともああ思っているかしら?』と考えるのに疲れちゃったんだって。それで今は嘘のように、もとどおりの地に足のついたシングル生活に戻っているのよ。人間ってよくわからないわよね」

パートナーを失ったドイツ人が
すぐに「次」を探すワケ

 ドイツ人が配偶者やパートナーが亡くなったあとの恋愛に積極的なのは、ヨーロッパは断然「カップル社会」だからでしょう。ドイツでは昔も今も大手の新聞に「出会い系のページ(現在はサイトのことも)」があります。自己紹介とともに相手に求める条件などを書いて投稿するのですが、10代の頃、私はよく友達とこの「出会い系」に書かれた文言を見ては笑い転げていました。

 自信たっぷりの自己紹介に、「ほんとうかな~?」と思うことも多いのです。

「『身長187センチでスポーティな体型』と書いている人は、いい身体かもしれないけれど、髪の毛がないのかな?『週末は家で君とゆっくりしたい』ということは、君に家事をやってもらいたいし、外でお金を使いたくないのかも?」

 いろいろと友達と妄想しては笑っていました。まあ私たちの性格が悪かっただけかもしれませんが。それでもドイツ人と話すと、「出会い系」での自己アピールの「誇張」がよくネタになるのは確かです。

 日本と違うのは、文言がラブレター調になっていることです。たとえば「かわいい天使のような君が舞い降りてくれば、戦争だらけのこの世界にも光がさします」というふうに、ラブレターに社会ネタを盛り込んだものをよく見かけます。

 これを読んで、単なるロマンチストなのか、それとも面倒くさい性格の人なのか、どう判断するかは難しいところです。