肉体労働の経験がないから、肉体労働のことを理解できないとは限りません。また、そういう仕事をしたことがないからダメだともまったく思いません。ただ、経験したほうが理解の助けになるはず。
おなじように、仕事だけではなく、都会育ちであれば田舎に暮らしてみる。海外にも暮らす。外国人の友だちもつくってほしいし、外国語も学んでほしい。社会は多様な人々、幅広い体験、経験を持った人たちで構成されていますから、それらが理解できるようにいろいろな体験をしてほしいと思います。
実際、僕は日本に来て、アメリカについて初めて気づいたことも多いです。アメリカでは当たり前だと思っていたことが、日本では当たり前ではないことにも気づきました。
誰にでもバイアスや固定観念は多少なりともあると思います。さまざまな体験が、それを取り払うきっかけになります。なるべくいろんなことを知って、自分の常識を疑うことが大切だと思っています。
それは若い人だけではありません。僕は55歳になりますが、いまでも自分にそう言い聞かせています。やっぱり年を取ると、思考がいろいろ固まってきますからね。
自分でこっちに偏っているなとか、こっちに固まってきてるなと気づいたら、なるべくそれを取り払って、反対側の視点で考えてみるとか、別の発想をしてみようとか、理解してみようとがんばるようにしています。
それは資産運用にも通じます。基本はブレないようにしつつも、ある程度の柔軟性を持つことも大切だと思っています。