
世界に誇る日本食、ラーメン。手頃なものから、こだわりの高級品、ご当地ラーメンと多様性も魅力だ。その一方で、ラーメンの麺とスープは塩分が多く含まれており、食べ過ぎは健康を損ねる可能性が指摘されている。
山形県立米沢栄養大学の研究グループは、2024年の家計調査(総務省)で堂々のラーメン消費額(外食)3連覇を達成した山形市を含む県内の住民を対象に、ラーメンの消費量と死亡リスクの関連を調べている。
ちなみに、山形市の1世帯(2人以上)がラーメンにかける年間の外食費は2万2389円で、全国平均5758円のおよそ3.8倍、2位新潟市の1万6292円にも6079円の大差をつけた。
さて、米沢栄養大学の研究では山形大学医学部の疫学調査である「山形コホート研究」で収集した過去1年間の食事に関する「食物摂取頻度調査票」のデータを使用。ラーメン食の頻度から回答者を「月1回未満」「月1~3回」「週1~2回」「週3回以上」の各群に分けて解析を試みている。
40歳以上の回答者6725人のうち、男性は2349人、平均年齢は59.7歳だった。回答者の特徴では、ラーメン食が多いほど体格指数が高く、ラーメンのスープを半分以上飲む割合が高かった。
追跡期間中(中央値:4.5年)にがんや循環器疾患で145人が死亡(男性85人)。年齢や生活習慣病などの影響を調整して解析した結果、ラーメン食「週1~2回」群を1とすると、「月1回未満」群を含め、そのほかの群で死亡リスク上昇傾向を認めた。
さらに男性でのみ「月1回未満」群のリスクが有意に上昇。年齢別では70歳未満で「月1回未満」群と「週3回以上」群で死亡リスクの有意な上昇を認めた。スープを飲み干すか否かでは、ラーメン食の頻度にかかわらず、半分で我慢した方が死亡リスクは低かった。
研究者は「スープの塩分が死亡リスクとの関連を強化した可能性」を指摘している。
ラーメン食の頻度が低いグループで死亡リスクが高かったのは意外だが、「ラーメンを食べたい」と思えるほど元気がなかったからかもしれない。
ラーメンを健康的に楽しむなら「食べる回数は週に1~2回程度に、スープは半分まで」が良さそうだ。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)