10代後半(15~19歳)については90年には3.8だったが、95年には5.0、2000年には6.4、05年には7.8になった。その後、増減を繰り返し、20年には10を超えて、11.4になった。22年には12.2へと増加した。
90年を起点とした場合、約3倍になっている。
10代は、06年に自殺対策基本法が制定されても、減少傾向にはならない唯一の年代だ。それだけ自殺対策からは蚊帳の外だったとも言える。
場当たり的な施策を
講じてきた日本
もちろん、国も対策を講じてこなかったわけではない。
13年には、いじめ防止対策推進法を制定した。いじめが初めて法律で定義され、いじめを行うことが禁止された。2000年には児童虐待の防止等に関する法律ができ、児童虐待を法的に定義した上で、禁止行為とした。
また、19年に児童福祉法も改正された。子どもの権利条約の精神に沿った理念が追加され、立ち入り調査の強化や親権者による体罰を禁止した。しかし、子どもの自殺者数という視点で見れば、それを減らす要素にはなっていない。
SNSで「死にたい」などとつぶやいていた男女9人が殺害された座間事件が起きたことや、警察庁の統計で小中高生の自殺者数が3年連続で500人を超えるなどのトピックが生じるたびに、場当たり的と見える施策を講じるだけだった。
そんな中で、23年4月、日本にもようやく子ども施策の司令塔、こども庁が誕生した。「こどもまんなか社会」の実現を目指す省庁だ。
「こどもまんなか」というのは何か。こども庁は、こども基本法に基づいて「こども大綱」を作成した。「こども基本法」は社会全体で子ども施策を包括的に推進するための法律だ。
こども大綱における
「こどもまんなか社会」の定義とは
「こども大綱」はその理念を具体的に実行していくために子ども施策の基本的な方針などを定めたものだ。大綱作成のためにこども家庭審議会基本政策部会などでさまざまな意見を集約した。その定義は次のように書いてある。