薬物イメージ写真はイメージです Photo:PIXTA

年々増え続けている「子どもの自殺」。特に最近は、市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)が絡んでいることが目立つ。オーバードーズの様子を自ら配信するケースもあり、SNSなどを通じた社会的な影響も無視できない状況となっている。なぜ市販薬への依存が増加しているのか、その背景を探る。※本稿は、渋井哲也『子どもの自殺はなぜ増え続けているのか』(集英社)の一部を抜粋・編集したものです。

「自殺配信」をした
2人の女子高生

 2023年4月13日午前4時ごろ、千葉県松戸市内のマンション敷地内に少女2人が倒れているのを住人の男性が発見し、110番通報した。1人は発見時にはすでに死亡していた。もう1人は搬送先の病院で死亡が確認された。2人は、自殺する瞬間まで動画配信をしていた。

 鎮咳薬Aを飲み、酩酊状態だったと見られている。

 亡くなった女子高生のうち1人は、新潟に住むXだ。恋愛について悩んでいたともいわれている。Xと何度かTwitterのDMでやりとりをし、「一度、電話をしたことがある」という同年代の女性は、「結構前に聞いた話ですが、Xは推しとうまくいかなくて悩んでいたみたいです」と話す。亡くなる直前、YouTuberの男性との恋愛で悩んでいた。

《都合のいい女すぎて鬱。死にたい》

 もう1人の女子高生は千葉県松戸市在住のY。動画では、少女の1人が「怖い……怖いよ」と繰り返したのち、「大丈夫。行こう」「せーので行くよ?」「せーの」という会話がされていた。そして、2人は配信画面から消えた。