1人1台端末がいじめに使われることもあった。

 20年11月30日、東京都町田市の小学6年生の女子児童(当時12歳)が、いじめを訴える遺書を残し、自宅で自殺した。1人1台端末のタブレットのチャット機能が、いじめに使われ、「本当にうざいよね」「死んでほしい」などのやりとりがされていたのだ。

 たとえSOSを発することができたとしても、教職員が多忙だったり、知識不足だったりすると、見逃してしまうかもしれない。さらに、教職員が休みなどの場合も、自殺直前のメッセージは見逃してしまいかねない。

 24年4月、東京都内で小学6年生の女子児童(当時12歳)が自宅マンションから転落死した。

 女児が自殺直前、タブレットの機能を使って、学校側に「父親から性的虐待を受けている」という内容のメッセージを送ったといわれている。つまり、飛び降りる直前にSOSを出していたことになる。しかし、日曜日の早朝だったために、学校側はメッセージを読むことができなかった可能性が高い(注2)。

 1人1台端末でのリスク早期発見は、教員不足の中で、サインを受け止める体制を整備していくこととセットにしなければならないのではないだろうか。教職員数の確保や待遇改善、働き方改革、AIの活用を含むデジタル化の推進とセットで考える必要がある。

プロジェクトチームにつながれない
子どもや若者たちも

 たとえば、千葉県内の児童生徒の自殺者数の変化を見ると、2018年度は22人、19年度は13人とほぼ半減した。しかし、20年度は19人、21年度は16人、22年度は23人、23年度は19人と、増減を繰り返している(注3)。

注2 拙稿「父親の性的虐待を苦に小学6年生女子が自殺?警察発表は無し、学校は相談を受けていたが…」文春オンライン、2024年5月24日。
https://bunshun.jp/articles/-/70943

注3 千葉県教育庁教育振興部児童生徒安全課「令和5年度『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』の概要について」2024年10月31日。
https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/jisei/seitoshidou/mondaiokudoutyousa/documents/r5mondaikoudouchousa.pdf