50円均一にするくらいならば元々、割引率の高い小児定期券を通学範囲に限定する意味はない。フリー定期券の設定は旅客誘致、需要喚起に、より本質的に踏み込んだ施策であると評価できるだろう。
運賃改定を実施済または実施予定の事業者も、ほとんどが通学定期運賃を据え置いており、子育て世代への配慮が目立つのが昨今のトレンドだ。つくばエクスプレスも2026年3月に、14キロ以降の小児運賃を200円均一とすると発表しており、他社も小児運賃の均一化を意識せざるを得なくなるだろう。
JR東海などが始める新幹線予約
「LINEからEX」の狙い
続いてはJR東海、JR西日本、JR九州の三社が8月28日に発表した、メッセージアプリLINEから新幹線の予約が可能な「LINEからEX」の導入だ。
東海道・山陽・九州新幹線では現在、年会費1100円の「エクスプレス予約」と、会員登録は必要だが年会費無料の「スマートEX」がある。これに対して「LINEからEX」は、LINE公式アカウントから「東海道・山陽・九州新幹線予約」を友達追加するだけで、会員登録やクレジットカード登録は必要ない。支払いはPayPay決済、乗車は手持ちのICカードとの紐づけで行う。
ただし、既存サービスとは異なる点も多い。例えば、通常期の東京~新大阪間の割引は、エクスプレス予約が490円、スマートEXが200円だが、LINEからEXは100円と他より少ない。また、サービスは手数料なしで何度でも予約変更が可能だが、こちらは払い戻しのうえ再度購入する必要がある。座席指定も座席表による個別の選択はできない。
サービスや割引が限定的な第3の仕組みをなぜ導入したのか。JR東海は、年1回程度しか新幹線を利用しないライトユーザーや、クレジットカードを所有・利用しないユーザーがターゲットで、きっぷうりばでの購入をオンラインに切り替えることが目的だと説明する。
そこで乗車直前に駅のきっぷうりばで切符を購入する旅客に必要な機能に限定することで、気軽に利用できる簡単な手続きでの予約・決済を実現し、より利便性の高いEXサービスへの移行を図りたい考えだ。
LINE以外のチャネルへの展開について、「現時点で他のアプリ、サービスとの連携などについては具体的にお話しできることはありませんが、より多くのお客様にご利用いただけるよう、引き続き利便性の向上に取り組んでまいります」と語る。