企業が退職者インタビューを実施する際の注意点
企業の人事部が退職者インタビューを自社で行う場合、特に注意が必要なのが「心理的安全性の担保」、そして「適切な質問の設計」です。
退職者が企業に対して本音を話さない理由は大きく2つあります。1つは「言いづらい」という感情と、もう1つは「言っても意味がない」という諦めです。
1つめの、「言いづらい」という感情を払拭するには、話しやすい雰囲気をつくることが重要です。多くの退職者は、企業や人事部は「耳の痛い話は聞きたくないだろう」と考えているため、聞く側である人事部はネガティブな意見も真摯に受け入れる準備があることを伝えることが重要です。質問設計においても、「なぜ辞めるのか/辞めたのか」だけでなく、「働いていて良かった点」「もう少しこうだったら続けていたかもしれない点」など、多面的に掘り下げることで、退職者も「ネガティブな意見だけを言っているわけではない」という気持ちになるので効果的です。
2つめの、「言っても意味がない」という諦めを払拭するためには、インタビューの趣旨や目的を明確に伝え、「退職者の声を活かして、今後の組織をより良くしていきたい」という姿勢と計画を伝える必要があります。多くの企業で退職者は、「どうせ、形だけ話を聞いて、実際にはそれを活かさないんでしょう?」と感じています。そのため、具体的にどのように活かしていくのかを示すことで、退職者やアルムナイは積極的に協力してくれます。
ある企業は、「在籍時は違和感を覚えていなかったが、現職と比べて評価プロセスの納得性が低い」というアルムナイの声をもとに、評価制度の改善を行い、その実績を退職者インタビューで伝えることで、退職者やアルムナイからさらに多くの本音を集めることに成功しました。実際に退職者の意見を反映させていることを知ると、「企業は本気で改善をしようとしている」「自分の声が無駄にならない」と感じ、本音を伝えてくれる退職者は少なくありません。