「退職者インタビュー」の重要性とは?辞めた人の声があなたの組織を変えていく

「人的資本経営」のキーワードとして「アルムナイ」が注目されている。企業が自社の退職者である「アルムナイ」とどのような関係(アルムナイ・リレーションシップ)を築いていくかは、人材の流動性が高まっている時代で重要だ。さまざまなメディアからの出演依頼が続き、著書『アルムナイ 雇用を超えたつながりが生み出す新たな価値』(日本能率協会マネジメントセンター)も多くの読者に読まれている、「アルムナイ」知見についての第一人者・鈴木仁志さん(株式会社ハッカズーク代表取締役CEO兼アルムナイ研究所研究員)の「HRオンライン」連載=「アルムナイを考える」――その第11回をお届けする。(ダイヤモンド社 人材開発編集部)

>>連載第1回 「退職したら関係ない!」はあり得ない――適切な「辞められ方」「辞め方」を考える
>>連載第2回 誰もが明日から実践できる「辞め方改革」が、あなたと企業を幸せにする理由
>>連載第3回 「辞め方」と「辞められ方」――プロサッカークラブに見る“アルムナイ”の大切さ
>>連載第4回 “出戻り社員”が、会社と本人を幸せにする理由と、お互いが成功する方法
>>連載第5回 内定辞退者や早期退職者に対する“負の感情”が減る「辞め方改革」とは?
>>連載第6回 「急がば回れ」の姿勢が、“アルムナイ採用”をしっかり成功させていく
>>連載第7回 「アルムナイ」の広がりに伴う“さまざまな声”について、私がいま思うこと
>>連載第8回 いま、このタイミングで、“アルムナイ”の書籍を執筆して気づいたこと
>>連載第9回 メンバーシップ型の日本企業こそ、アルムナイ・リレーションシップをつくる意味がある
>>連載第10回  目的が「再雇用だけ」ではNG!――人事部からアルムナイへのアプローチ方法は?

企業による「退職者インタビュー」への関心の高まり

 かつて、退職という行為は、企業と個人にとって「関係の終わり」を意味していました。しかし近年、多くの企業と個人が、それを「関係性の変化」として捉え直すようになってきています。

 こうした姿勢の変化を象徴する動きのひとつが、企業による「退職者インタビュー」への関心の高まりです。

 筆者が経営するハッカズークでは、アルムナイ・リレーションシップ(企業と退職者の関係構築・強化)を支援するサービスを展開しており(*1)、企業から、退職に関するさまざまな相談を受けています。その中でも、退職者インタビューに関する依頼は、ここ1年で急増しました。特に大企業を中心に、退職者の声を組織改善に活かそうとする動きが加速しています。

*1 株式会社ハッカズークの「オフィシャル・アルムナイ」では、企業とアルムナイ(退職者)、アルムナイ同士などのコミュニティの構築と運営を、クラウドシステムとコンサルティングで支援している。

 かつては、“裏切り者”とされた退職者の話に企業が耳を傾けることは、想像すらできなかったかもしれません。しかし現在では、時には耳の痛い話も聞くために、企業は辞めた人の声に真摯に向き合い始めているのです。

 なぜ、いま、企業は、退職という行為、そして退職者に向き合おうとしているのでしょうか。そして、退職者の声が、企業文化や人材戦略にどのような影響を与えているのでしょうか。本稿では、私たちが支援している退職者インタビューの現場から、その意義と未来を紐解いていきます。