退職者インタビューが注目されている背景には…

「退職者インタビュー」とは、企業を退職する人やすでに退職した人に対して、退職理由や在籍時の経験などをヒアリングする取り組みで、英語では「イグジットインタビュー」とも呼ばれます。実施のタイミングには、退職前に行う場合と、退職後にアルムナイに対して行う場合の2つがあります。

 この退職者インタビューが、いま、注目を集めている背景には、大きく3つの変化があります。

 1つめは、退職という行為そのものへの企業側の捉え方が大きく変化していることです。かつては「裏切り」とも見なされていた転職も、いまや自然なキャリア選択肢のひとつとして定着しています。むしろ、“辞めた人”だからこそ語れる「外からの視点」によって、組織の強みや課題が見えてくるという発想が広まりつつあります。

 2つめは、“辞めた人”を「社外の人的資本」として捉える企業が増えていることです。退職者の声を聞くことは一方通行の行為ではなく、企業側から変化や改善点を共有する機会にもなり得ます。こうした双方向のコミュニケーションを通じて良好な関係を築いておけば、再入社はもちろん、ビジネスパートナーとして新たに関わる可能性も高まります。

 3つめは、現職社員では話しづらいような率直な意見や、退職して一度外に出た人でしか持つことができない視点が、退職者からは得られるという点です。現場の課題や組織風土に対する本音は、しがらみの少ない退職者だからこそ語れるものが多くあります。

ハッカズークによる、退職者インタビューの価値

 数多くの企業の退職者インタビューを“第三者”の立場で支援してきた私たち(ハッカズーク)が、退職者インタビューを実施する企業から選ばれる理由は大きく3つあります。

 1つめは、企業と直接に利害関係のない中立な存在としてインタビューを行うため、退職者が人事に話すよりも心理的安全性が高まり、本音を引き出しやすいことです。また、インタビューの結果(内容)を、必要に応じて匿名化し、本人が特定されない形で企業にフィードバックすることで、さらに安心して話してもらえる環境をつくっています。 

 2つめは、私たちが日本でも有数の「退職者の声」を蓄積・分析してきた実績を持つことです。単なる聞き取りに留まらず、組織改善や採用戦略、エンゲージメント向上などの具体的な提案にまで落とし込めるのが強みです。グループ会社のレイン(*2)と連携して採用のお手伝いもできることから、実際に退職者の声をもとに採用ブランディングを強化したいというご相談も少なくありません。

*2  「HRオンライン」株式会社レイン 代表取締役・芦川由香さんインタビュー「人事部が自社に合ったIT人材を採用し、会社全体のITリテラシーを高める方法」

 3つめの特徴は、退職予定者だけでなく、すでに退職した「アルムナイ」にもヒアリングを行っている点です。これから辞める人の声は組織の“現在(いま)”を映す鏡として有効ですが、特に新卒入社者などは退職するまでは他社との比較ができなかったり、在職中には気づかなかった点を辞めた後に実感したりすることもあります。そうしたアルムナイの声は、これから辞める退職者からは得られない「相対評価」や「時間を置いた客観的視点」として非常に価値があります。

 また、大半の企業が驚かれるのが、退職者の協力的な姿勢です。すでに関係が切れているにもかかわらず、多くの元社員が「少しでも会社の役に立てるなら」と、時間を割いてインタビューに応じてくださいます。その背景には、企業への恨みではなく、「古巣がより良くなってほしい」という前向きな想いがあるのです。