「いい加減目覚めなさい。日本という国は、そういう特権階級の人たちが楽しく幸せに暮らせるように、あなたたち凡人が安い給料で働き、高い税金を払うことで成り立っているんです」第1話より

「女王の教室」阿久津先生の衝撃
既存のドラマの教師像を覆した

 真っ黒な服を着た女性教師が、小学6年生に対してこんなセリフを言う。徹底的に冷徹な女性教師として描かれ、成績で子供を差別し、教え子たちの秘密を握り、保護者を手懐け、子供たちを競争へと駆り立てていく。

 今まで学校の先生と言えば、社会についてのことやお金に関することなどは言わず、努力や人を思いやることの大切さを伝えてくれる存在として描かれていたのが、このドラマでは全く逆の存在として、社会の黒い部分を伝える人間として描かれることとなった。この第1話のセリフはとても有名になり、今でもSNSで引用されてバズっているほどである。

 しかも、ただ恐ろしい存在ではなく、自分が子供たちにとって乗り越えるべき存在として敵対しており、本来は主人公たちのことを成長させたいと思っていることが語られる。その彼女の哲学が見えるシーンがこちらである。

「愛することと、甘やかすことは違います。12歳の子供なんて、まだ未完成な人間なのよ。その未完成な人間に、媚を売ったり、彼らを甘やかしたりしてどうするんですか!罰を知らないで育った子供は、社会に出ても、問題や事件を起こす大人になるだけです。そういう人間を作らない為に、学校はあるんじゃないですか?だから私は、ルールを乱したり、反省をしなかった児童には罰を与えます。学校を辞める子が出てきても構いません。他の児童に悪影響を及ぼす子なら、いない方がマシです」

 すごいセリフであるが、しかしこれはその当時の人たちに大きな影響を与えた。モンスターペアレントの存在もあって、保護者のことを気にして子供に対して優しい態度を取る先生が多い中で、このセリフはアンチテーゼとして捉えられた。

 極端な存在ではあるが、しかしこういう教育も必要なのではないか、と思わせてくれるものであった。第1話視聴率14.4%に対して、最終話の視聴率は25.3%とかなり人気の作品になっていった。