なぜ冷徹な女王は誕生したのか
先生の限界点を超えた教育ドラマ

 つまりこのドラマのテーマもまた、「先生の限界点」である。先生という存在が今の時代に無力であり、そんな中で先生として本当の意味で生徒を守るには、ここまで極端な存在にならなければいけないのかもしれない…そういうメッセージが込められているのではないかと解釈することができる。

 ドラマでは最終的に、女王の行動が問題視され、彼女は「東京都教職員再教育センター」なる架空の組織に行かされることになる(まあつまりは左遷である)。

 これはある意味では子供たちの勝利であるが、子供たちは女王が自分たちのことを思って強硬な態度を取ってくれたことを知っているため、別れを惜しむ。女王は、自分は先生であることを辞めず、このやり方を変えない、と語る。最終話の展開はぜひみなさんで観てほしいのだが、ラストの初めての女王の笑顔には胸に迫るものがある。

 バブル崩壊後、ゆとり教育の議論もあり、教育はどんどん混乱することになっていった。そこにいじめ問題やモンスターペアレントの存在・学級崩壊も加わって、先生の限界点がドラマでも取り沙汰されるようになった。

 その中にあって、限界点を超えるドラマとしての「女王の教室」はかなり強いメッセージとなったと考えられるだろう。