サントリーHD会長を
辞任した経緯
新浪氏は1981年、三菱商事に入社し、その後、米ハーバード大経営大学院終了。2002年に43歳の若さでローソン社長に就任し、14年から会長。同年、サントリーHD社長を経て25年から会長。23年からは経済同友会代表幹事を務めていた。
3日は代表幹事としてもともと予定されていた定例の記者会見だったが、前日にサントリーHD会長を辞任したことが明らかになっていたため、普段よりも多い約80人の記者らが詰めかけ、新浪氏は「(サントリーは)10年間、一緒になって泣き笑いした。私が辞することがプラスと判断した」と断腸の思いを口にした。
代表幹事については「活動は当面自粛し、処遇は同友会の判断に委ねる」とし、政府の経済財政諮問会議の民間議員についても「決めるのは政府で、判断を委ねたい」との見解を示した。
全国紙経済部デスクによると、新浪氏はローソン社長就任後、押しの強さで君臨。体格の良さと物怖じしない雄弁さで大物としての印象を各方面に浸透させ、同友会代表幹事就任後は財界トップとして風格を感じさせたという。
新浪氏のサントリーHD会長辞任の経緯はこうだ。
8月21日深夜、新浪氏がサントリー側に「購入したサプリに疑義が生じている」と連絡。翌日、新浪氏が福岡県警に捜査を受けたと報告。サントリーHDがリスク検討会議を開催し、経営幹部に伝達。その後に弁護士が新浪氏から説明を受けた。
23日、新浪氏は米国に出張。26日、サントリー側は取締役会を開催し、新浪氏からオンラインで経緯を確認。28日、新浪氏を除く全取締役、全監査役が対応を協議し、9月1日に帰国した新浪氏が提出した辞任届を受理した。即断即決だったのは、前述の理由からだ。
そもそもTHCはCBDの一種で、多幸感を覚えるなどの作用がある向精神薬だ。大麻樹脂が数パーセント含まれ、摂取により音がよく聞こえたり、景色が綺麗に見えたり、気持ちが落ち着くほか、快楽・快眠に効果があるとされる。
ただ、2023年以降は薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)で指定薬物に該当し、規制対象。製造、輸入、販売、所持、使用などは禁止されており、違反した場合は刑事罰の対象でもある。