大物摘発に色めき立つ福岡県警
だが新浪氏の立件は困難か
それでは、新浪氏は刑事責任を問われるのだろうか。新浪氏が記者会見で語った内容が事実であれば、立件は難しいと思われる。なぜかと言うと違法なサプリが発見されなかった上、尿検査でも成分が検出されなかったため、サプリそのものが新浪氏の手に渡っていたかどうか、立証できないからだ。
実は今回の福岡県警による捜査は、門司税関(北九州市)の情報提供が発端だ。新浪氏の知人の弟が供述した内容に、色めき立ったに違いない。一般に知られていないが、警察は手柄が重視され、昇進にも大きく影響する組織でもある。
新浪氏という大物を摘発すれば間違いなく警察庁長官表彰の対象となり、関わった警察官は昇進に有利になるのは明らかだ。前述の全国紙社会部デスクによると「県警幹部の口がよく回っている」という。そう「新浪氏を的にかけたぞ」と強調したいのだ。
ただ、そう上手く行くかは分からない。警察庁長官表彰は、警察官や犯罪防止に貢献した国民に授与される警察庁の最高位の表彰制度で、警察官に対しては「勲功章」「功労章」「功績賞」がある。
このいずれかの表彰を受けた警察官は一生自慢できるとされ、過去に取材した警察幹部は「よほど問題がない限り、本部の課長、署長級以上(警視以上)まで昇進できる可能性は高くなる」と話していた。そういう事情もあり、福岡県警は少なくとも書類送検(立件)に持ち込みたいのは間違いないだろう。
【訂正】記事の初出時より以下の通り訂正しました。
1ページ3段落目
「鳥居信宏社長」→「鳥井信宏社長」
(2025年9月9日 9:45 ダイヤモンド・ライフ編集部)
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「鳥居信宏社長」→「鳥井信宏社長」
(2025年9月9日 9:45 ダイヤモンド・ライフ編集部)