悩みを抱えるのは「働く女性たち」

――なるほど。そうした出会いがあり、現在はご自身でも読書会を開催されています。なぜご自身で読書会をするようになったのでしょうか。

2010年に初めて本を出版し、カラーの講座や講演で全国を回るようになりました。多い時には月に20泊も出張するほどで、各地でさまざまな方と出会いました。

受講者の多くは私と同じ「30代後半から50代の働く女性」たち

彼女たちの中には、お仕事の悩みを抱えていたり、新しくサロンをオープンしようと準備している方もいて、自然と仕事の相談を受ける機会が増えていきました。

そのとき私がよくお勧めしていたのが、ドラッカーの『経営者の条件』です。

ところが「一人ではなかなか読み切れない……」という声も多く聞かれました。

ちょうどその頃、札幌で佐藤等先生が主宰されていたドラッカー読書会が大人気となり、参加希望者が増えて先生お一人では対応しきれなくなってきたのです。そこで、後進のファシリテーターを育成する講座が始まり、私も二期生として受講しました。

それをきっかけに、全国でドラッカー読書会を開催するようになり、カラーの生徒さんたちも参加してくれるようになりました。お互いの現場での悩みを共有しながら、一緒にマネジメントを学び、実践する場が自然と育っていったのです。

2014年からは自分の読書会を主宰しているので、かれこれ10年以上続けていることになります。今は地元函館での開催やオンラインでの開催をしています。

「人生が動き出す」読書会

――どのような悩みを抱えた方が多いのか、具体的に教えてください。

新入社員、経営者、学生、主婦……本当にさまざまなライフステージの方々が参加されています。その分、悩みも実に多様です。

たとえば、

あるサロン経営者の方は「投稿しても反応がない」と悩んでいましたが、ドラッカーの「顧客は満足を買う」という言葉に触れ、Instagramの投稿写真を「自分が見せたいもの」ではなく「顧客が価値を感じるもの」に変えたところ、反応が見違えるようによくなりました

また、競争優位性を見出せずにいた経営者が、読書会で「自分たちの際立った知識」に気づき、それをメニューに反映させることで新たな展開につながったケースもあります

印象的だったのは、「何を言っても上司が聞いてくれない」と悩む方でした。議論を重ねるうちに「その上司は“聞く”より“読む”タイプでは?」という発想にたどり着き、用件をメモで伝えるようにしたところ、驚くほどコミュニケーションが改善したのです

他にも、家庭と仕事の両立で多忙な女性が、生活の時間を詳細に記録してみた結果、何でも一人で抱え込んでいたことに気づき、家族の協力を自然に得られるようになったというエピソードもありました。

このように、参加者はドラッカーの言葉を「自分ごと」として受けとめ、それぞれの現場で試行錯誤しながら変化を起こしていきます。その姿を見るのが、読書会を続けてきて一番の喜びでもあります。

――ドラッカーの言葉は、さまざまな問題を解決に導くのですね。ありがとうございました。