「お金のこと、周りの人より苦手かも……」。そう思ったこと、ありませんか?
「計画的に貯金しよう!」という意思はあるのに、できない。というか、気づくと必要ないモノを買ってしまう……など。こういったお金の困りごとは、あなたが怠けているからではなく、性格のせいでもなく、もしかしたら「脳の仕組み」のせいかもしれません。
この連載では、年間100世帯以上の相談にのっている発達障害専門のFPで自身もADHD当事者である『発達障害かもだけど、お金のこと ちゃんとしたい人の本』の著者・岩切健一郎氏が、お金について解説します。
発達障害の人も、そうじゃない人にも役立つヒントが満載です。
※現在、正式な診断名は「発達障害」から「神経発達症」へ変更になっていますが、この連載では広く知られている「発達障害」という表現を用います。

隠れ出費の「居場所代」
発達障害の人に関連するお金の問題で、まだ言語化されていない潜在的な課題があります。
そのひとつが「居場所代」です。
発達障害やその傾向のある人は、社会的なスキルが低かったり、コミュニケーションに強い苦手意識があったりします。他人と自然体で関わることが難しいことも多く、自分の居場所や安心できる空間を見つけるのが苦手な人もいます。
このような背景から、自分自身の居場所を確保するために特定の出費が発生することがあります。それを私は居場所代と呼んでいます。具体的には、風俗やキャバクラ、ホストクラブ、そして最近では推し活などに関係する出費です。
安心して過ごせる居場所を
これらの場では、自分が必要とされ、受け入れられている感覚を得られます。接客する側が利用者に対して親身に接し肯定的な言葉をかけてくれるため、自己肯定感が高まり「ここにいていいんだ」という気持ちになります。
推し活では、アイドルやアーティストの応援を通じてコミュニティに参加し、一体感や連帯感を抱くことができます。
ですから、これらの出費すべてが間違っているとは思いません。しかし長期的には、経済的な負担が大きくなる可能性があります。
例えば、キャバクラやホストクラブに通う費用がかさむと、生活費や貯蓄に影響を及ぼし、経済的な不安を引き起こすことも。推し活に多額の費用を投じることで、他の重要な支出が先延ばしになることも考えられます。
でも安心して過ごせる場所やコミュニティを他に見つけることができれば、これらの出費を減らせるかもしれませんよね。
地域のコミュニティや共通の趣味のコミュニティはそれに該当するでしょう。SNS上の仲間やオンラインゲーム仲間の存在が居場所になっている人もいますね。すぐに見つけるのは難しいですが、アンテナは張っておきましょう。
いかがですか?
あなたには安心して過ごせる居場所、ありますか?
居場所のアイデアがあったら、ぜひ教えてくださいね。
(本記事は、『発達障害かもだけど、お金のこと ちゃんとしたい人の本』から一部抜粋・編集したものです。)