「釧路湿原野生生物保護センター」近くの民有地にソーラーパネル6600枚を設置するこの開発によって国の特別天然記念物タンチョウ、さらに天然記念物のオジロワシなどの希少生物の生態系が破壊されるので中止にすべきという声が、前出の野口氏をはじめ多く寄せられているからだ。

 しかも、こちらも仙台同様、地元住民は事業者への不信感を募らせている。というのも、実は「日本エコロジー」は建設予定地のうち森林区域に関して、森林法で定められた許可を得ずに工事を進めており、今月2日には北海道から工事中止の勧告も受けていたからだ。

 全国的に注目が集まる中で、自民党の国会議員連盟との面会後、「日本エコロジー」の社長は記者団にこう述べた。

「かなり投資しており、立ち止まることはできない。市と協議して進めたい」

 この「ブレーキの壊れたダンプカー」的な発言が反対派の怒りに火をつけてしまった。ネットやSNSでは同社を批判する投稿が盛り上がっている。メガソーラーといえば「中国」ということで、同社に対して「中国資本ではないのか」などの憶測が飛び交って、社長や株主について調査する動きも活発だ。

 この盛り上がりぶりがよくわかるのが、新潟県の「日本エコロジー」への「風評被害」だ。同社はホームページに「お知らせ(同名企業に関するご注意)」というリリースを出している。

「当社へ多数のお問い合わせやご意見をいただいております」ということなので、同社にもかなりの“間違いクレーム”が寄せられているはずだ。

「新潟の企業は巻き込まれて気の毒だけれど、日本の美しい自然を破壊するような企業はみんなでノーを突きつけるしかない」と日本エコロジーへの「抗議」を強めていこうと考えている人も多いだろう。

 ただ、個人的には今のような“メガソーラーバッシング”をしたところであまり意味はないと思っている。

「日本エコロジー」にクレームを入れたり、ネットやSNSで「中国資本は出ていけ」と叫んで、メガソーラー関係者を吊し上げところで、全国にメガソーラーや太陽光発電施設が「濫造」される構造的問題は解決できないからだ。