イーロン・マスク氏テスラCEOのイーロン・マスク氏は、147兆円も手にしたら一体何に使うのだろうか… Photo:JIJI

テスラがマスクCEOに最大147兆円の報酬を提案。マンガでも無理が出そうな巨額報酬に「なぜそこまで?」と誰もが思うでしょう。しかし、本当に注目すべきはその金額だけではなく、報酬を得るための“成立条件”です。社会のルールを破壊するレベルの野心的なミッションとは?日本企業も他人事ではない、この報酬が示す未来を解き明かします。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)

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天才イーロン・マスク氏は
“1兆ドル”手にしたら何を買う?

 テスラの取締役会がイーロン・マスクCEOに対して最大1兆ドル(約147兆円)の報酬パッケージを提案しました。今後10年間にわたって複数の業績達成トリガーをすべてクリアした場合に与えられる最大額の報酬です。

 さて、CEOへの報酬として147兆円とはマンガの世界を超えています。

 これまで漫画に登場した大金持ちといえば、まず思い浮かぶのが『サラリーマン金太郎』がマネーウォーズで得た3兆円でしょう。ないしは金額は明記されていませんが、『俺の空』の主人公の安田一平は安田財閥総帥です。

 たとえば、旧三菱財閥に相当する三菱グループの直近の時価総額合計は推計で約70兆円になります。仮に財閥総帥が10%の株式を保有している設定だとすれば、7兆円の個人資産を持つと考えられます。

 マンガの安田一平は、財閥刑事として殺人事件の捜査でアメリカのワールドトレードセンターをオマージュした高層ツインタワーをまるまる二棟買収して、ビルを解体して基礎部分に埋められていた死体を掘り出そうとするといったマンガ級の金遣いを見せてきました。

 イーロン・マスクは世界の大富豪ランキング2位で、推定資産は約51兆円とされます(1位は米オラクル創業者で会長のラリー・エリソン)。そこからさらに147兆円を手にした場合、動かせる資金は約200兆円。それで何ができるのでしょうか?