さらにテスラ社の重要な新製品にヒト型ロボットのオプティマスがあります。マスク氏が1兆ドルの報酬パッケージを受け取るには、このオプティマスを100万台販売しなければなりません。
これは小売・飲食、倉庫・物流、病院や介護といった職場での全世界300万人の労働力が24時間働くヒト型ロボットに置き換わる未来を作る必要があります。
結局のところ、テスラの取締役会がイーロン・マスク氏に期待することは、イノベーションによる既存の社会システムや抵抗勢力の破壊です。
日本で例えれば、ライドシェア程度で強烈に抵抗しているタクシー業界を絶滅させ、トヨタや日産を衰退させ、労働組合の元締めである連合が猛反発するレベルで人の仕事をロボットに置き換えていく仕事です。
それを成し遂げることで最終的にマスク氏は1兆ドルを手にすることができるのです。
そして1兆ドルの報酬パッケージの最後のハードルは、CEOの後継者の育成です。おそらくマスク氏にとってこの目標が一番たやすく解決できる課題だと考えているのではないでしょうか。
というのも、10年後の2035年にはマスク氏の率いるX社がASI(人工超知能)と呼ばれる自律思考型AIの開発に成功しているはずだからです。
人間ではマスク氏と比肩しうる天才後継者は育成できないけれども、人類すべての頭脳よりも高い思考力を備えたASIならマスク氏を超えることすら可能です。
そのASIをヒト型ロボ・オプティマスのスーパーストロングバージョンの機体に搭載すれば、知性でも腕力でも勝てない世界最強の人工経営者が誕生するでしょう。
たぶんマスク氏は最後にそのロボット経営者にクビを切られるでしょう。けれども、その段階で時価総額が前人未踏の8.5兆ドルになっているでしょうから、テスラの取締役会は満足すると思います。マンガみたいなオチですみません。