ID.Buzzをきっかけに、フォルクスワーゲンブランド全体に興味を持ってもらえる
沢:具体的な数字は申し上げられないのですが、ID.Buzzはそもそも年間販売台数が数千台を狙うようなボリュームのクルマではありません。ご契約をいただいた中では、新規のお客様が多いのが特徴です。現時点の社内集計では、半数近くが新規です。
例えばゴルフだと、新規はだいたい2~3割ほど。同じEVのID.4も初期は新規が3割程度でしたから、ID.Buzzは明確に新規比率が高いんです。もうひとつ面白いのは、ID.Buzzが「フォルクスワーゲンに触れる入り口」になっている、ということです。ID.Buzzをきっかけにブランド全体を見ていただく流れが、目に見える形で出てきました。

F:フォルクスワーゲンに触れる入り口というのは、どういうことでしょう?
沢:店頭でID.Buzzを見に来られたご夫婦が、その場でT-Crossやゴルフをご成約、というケースが実際に出ているんです。ご主人がID.Buzzを熱心に見られている間に、「日常使いのためのクルマに」とゴルフをご覧になって、そのまま商談が具体化する……というパターンです。ID.Buzz単体の台数だけで評価すると見落とされがちですが、全体で見ると確実に“人を連れてくる”効果が表れています。来場の理由を作り、適したモデルに橋渡しする~そのような良い循環ができてきた印象です。
F:なるほど。ID.Buzzそのものの人気もさることながら、“広告塔”としても機能していると。
沢:そういう側面もありますね。まずは見てもらう。そして触ってもらうということを大切にしています。ID.Buzzは話題の中心になりやすいので、来場の理由が作りやすいんです。そこでお客様のクルマの使い方を伺うと、日常距離や駐車場事情で別のモデルが適する、という結論に自然につながることがあります。ID.Buzzをきっかけにフォルクスワーゲンの他の車種をご案内、という動線は、販売の現場でも共有されつつあります。ID.Buzz単体のKPIだけでは捉えきれない価値だと思っています。
F:あの注目度なら集客効果は絶大でしょう。ID.Buzzにはロングとショートの2種類のボディがありますが、どちらが多く売れていますか?