メルセデス・ベンツV220d EXCLUSIVE long Platinum Suiteメルセデス・ベンツV220d EXCLUSIVE long Platinum Suite/価格:9SATC 1362万円 Photo by Atsushi Harada

所有する満足度でアルファードを上回ることなど
きっとないと思っていたVクラス

 高級ミニバンと呼ばれるマルチパッセンジャービークル(MPV)の分野は日本勢が圧勝、が常識だろう。実際、ヨーロッパのクルマ好きが来日して真っ先に乗りたがる国産車といえばトヨタのアルファードだし、お金持ちが持って帰りたいと駄々をこねるのは決まってレクサスLMである。

 そんな日本市場を嫌ってか、海外からのMPV刺客は、コンパクトクラスを除くと、このところほとんど見かけなくなっていた。過去にさかのぼって成功例を探してみても思いあたるのは本家本元だったクライスラー・ボイジャー(本当にいいミニバンだった)くらい。VWも随分前に諦めた(BEVのID.BUZZは期待大だ)。

 もっともメルセデス・ベンツのミニバン、Vクラスは地道にずっと輸入されてきた。だが正直、日本で使うには装備が甘すぎ、機能性は劣るし、商用車くささの残る見た目もドライブフィールも気になった。長所は高速域の安定感のみ、あとはベンツ・マークのステータスくらいだった。

 メルセデスは高級車作りに長けたブランドだ。Vクラスだってそれなりに頑張って進化させてきた。けれどもそれ以上に国産高級ミニバンの装備や機能が充実し、なかなか追いつけなかった。専用設計にはやはり敵わない。だからVクラスがマイナーチェンジしたと聞いても、所有する満足度でアルファードを上回ることなどきっとないと思っていた。実物を見るまでは。