ヨーロッパではEVがまた売れ始めている
F:ヨーロッパ市場はどうなんですか。EVに関して、ヨーロッパは一度冷えたあと、ここ数カ月で持ち直してきている……そんな印象がありますが、“現場の空気感”はどんな感じでしょう?
沢:おっしゃるとおり、いったん補助金の縮小などで減速した局面はありましたが、ここ数カ月はEVが回復してきている感じですね。実際に販売が増えていますし、報道や現場の声も出ています。ドイツでも一時は補助金打ち切りの影響が見られましたが、足元は戻り基調という話があります。実際にフォルクスワーゲンも台数を伸ばしています。もちろん国や地域で濃淡はありますが、少なくとも「沈静化一辺倒」ではない、という感触です。
F:なるほど。値付けや納期の落ち着き、ファイナンス条件の見直し、そうした“現実解”が効いてきたということですね。フォルクスワーゲンは日本でのEVラインナップが少ないですが、現地ではどのような感じですか?
沢:現地のIDファミリーで言うと、ID.3、ID.4があって、ID. 4のファストバック(クーペSUV)という位置づけのID.5があります。さらに大きなID.7があります。これは“パサート”のEV版とイメージしてもらえれば近いと思います。少し先の話ですが、コンセプトではID.1、それからID.2 allといった小型セグメントも出ています。

F:展開する順番は、まずヨーロッパ、それから北米、のちにアジアという流れですか?
沢:はい。まずヨーロッパでワールドプレミア、そのあとアメリカ、続いてアジアやオセアニアを含むインターナショナルマーケットという順です。これはフォルクスワーゲンコマーシャルビークルズの通常の仕向け手順とも整合しています。ヨーロッパに厚い顧客基盤があり、そこで量産・流通・アフターの体制を固めた上で、市場別の法規・充電規格・安全要件に合わせて広げていく、といった流れです。国によって仕様が異なるので、一気にドーンというわけにはなかなかいきません。