ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便
競争しつつも、協業できるパーツを増やす
ここ数年、宅配便の取扱個数が伸び悩んでいることについては、「適正運賃の収受を経営課題の中心に据えており、個数が伸び悩むのはある程度、想定の範囲内だった」とした上で、宅配マーケットの動きについては「世の中で動いている宅配のサイズ感が少し変わったのではないか。フリマサイトなどが増え、小さい荷物が動くようになったことで、ポスト投函サービスを持っている事業者が数量を増やしてきた」と分析。
その上で今後は、「越境ECやリアルコマースなど、成長としてアップデートできる部分については、今中計でも宅配便をしっかり成長させていきたい」と語った。
また、「置き配」については「輸送効率が良くなることは歓迎だが、我々が運ぶモノの中には、世に2つとないモノやお客様の思いがこもった品もあり、なくなっていいという前提で運びたくはない。お客様にとって安心かつ安全で、よりストレスなく受け取れる方法にしていくために、『置き配』という手段を関係者全員で考えていくべき」と述べた。
点呼不正問題を巡って、日本郵便が輸送業務を佐川急便などの同業に委託していることについて、「この件に限らず、運送業界は競争しながらも協業できるパーツをいかにつくっていけるかが大事であり、手を組めるところはしっかり組んでいきたい。物流のインフラが壊れることは絶対にあってはならないと思っており、日本郵便からいただいた集荷代行のオーダーに対応させていただいている」と説明。
「今の物流の状況で、仮にヤマト運輸や佐川急便、日本郵便の1社でもなくなれば、荷物は必ず滞ってしまう。そういうことが起きないように、競争しつつも、協業し合いながら経済を支えていきたい」と協調の必要性に言及した。
笹森氏は、「この会社に入って43年目になるが、社会の皆様から佐川急便という会社があってよかったと思ってもらえる会社にしたいというのが変わらぬ思い。お客様のニーズに対して、我々ができることを探していくことが重要であり、消費者のためになることをしていかなければ選んでもらえない。お客様に『いいね』と言ってもらえる数をいかに増やすかだ」と抱負を表明した。