【教訓1】
顧客を軽んじるな

 まず松尾の炎上から学ぶべきことの1つ目は「顧客を軽んじるな」だろう。

 松尾の失言が炎上した理由は一般人を「素人」として見下し、SNSで発言する資格がないと語ったことが上から目線と捉えられたことだった。

 ただ松尾が語ったその「素人」こそ、芸人にとっての顧客だ。劇場に直接通う客はもちろん、テレビやYouTubeで見ている視聴者もみな「素人」である。

「素人」からの人気があるからこそ、テレビ局は番組に起用しようと考え、企業もCMに起用しようと考える。そうした生活の基盤を支えてくれている一般の人たちのことを、松尾は内心ではバカにしていたとわざわざ伝えてしまったのだ。

 ビジネスの現場において、顧客や取引先を素人扱いして軽んじたり、下に見ることはアウトだ。ビジネスパーソンにとっては基本ではあるのだが、松尾に限らずこれができていない人が意外にいる。

 直接目の前で顧客を素人とバカにするような人はさすがにいないだろうが、相手がわからない専門用語で煙に巻いたり、顧客の状況に寄り添わずに決められたマニュアルのみで対応したり、顧客の不満を真剣に受け止めないといったケースだ。

 世界最大の小売業者である「ウォルマート」の創業者サム・ウォルトンは顧客の大切さについて、次のように話している。

“There is only one boss. The customer. And he can fire everybody in the company from the chairman on down, simply by spending his money(ボスは一人しかいない。それは顧客だ。彼らはお金を他の場所で使うだけで、会長から末端の社員まで、会社の誰でもクビにできる)”

 あなたの生殺与奪権は会社の上司が握るのではなく、顧客が握っている。だからこそ大切に考える必要がある。松尾を今回の窮地に追いやったのも、顧客である一般人の怒りだったことは胸に刻みたいところだ。