・Technological(技術)

 AIとロボティクス目覚ましい進展が「社内の意思決定支援」や「雇用縮小」という形で表れる。

 営業戦略、人事評価、投資判断など、かつて人間の経験に依存していた領域でAIが推奨案を出すようになり、意思決定の速度と透明性は増す。その一方で、中間管理職や事務系職種の役割は縮小していく。IT産業においてはプログラミング業務などもAIによって代替が進む。

 さらに、物流や小売の現場では「夜間は完全にロボット、日中は人間が監視だけ」という体制が広がり、働き方の再編が進む。人型ロボットも病院など一部の領域では実用化が進む可能性がある。AIやロボットは「人を助ける道具」であると同時に「人を不要にする仕組み」でもある。

・Environmental(環境)

 気候変動はすでに生活を直撃している。猛暑、豪雨、農作物被害は「未来の懸念」ではなく「現在の危機」である。

 しかし、国際的な環境に関する政策の流れは、トランプ大統領の再登場によって揺り戻された。米国は再び化石燃料使用へ舵を切り、国際合意の足並みが乱れた。

 ただし、この揺り戻しが長期化するとは限らない。米国および世界中で異常気象被害が拡大すれば、トランプ政権下の政策そのものが再び見直される可能性もある。日本にとっては、欧州型の脱炭素路線と米国型のエネルギー重視路線の間で振り回されるリスクが続くだろう。

 異常気象に関わる各種防災に対する備えはより進展する。

・Legal(法制度)

 今の日本が抱える最大のリスクは、社会変化全般に法制度が追いついていないことである。

 AIに対する法規制は過渡期でありそう簡単に決められない。安全重視の日本では自動運転の導入はなかなか進まないことが予想される。移民労働者に対する方針設定は不十分、防衛関連の体制整備も中途半端である。年金問題も再燃するであろう。

 現行制度は「現実を後追いで追認するだけ」の後手対応に陥っており、これが社会の不安定さを増幅させている。にもかかわらず、これから続く多党制の政治において、果敢な意思決定が行われる可能性も低く、法の制度疲労は簡単に改善しそうにない。