「中間管理職の悩みが消えた」
「ハラスメントに配慮して働けるようになった」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』『パーフェクトな意思決定』シリーズ四部作だ。これまで4500社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「数字に強くなれる」「仕組みで解決できる」という思考法を授ける本シリーズは、さまざまな企業・業界・個人から圧倒的な支持を集めている。この連載では、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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数字の軽視がもたらす「見えない損失」
「細かい数字より、現場の感覚が大事だ」
そんな言葉が、現場の判断を曇らせ、組織全体のパフォーマンスを知らず知らずのうちに下げているかもしれません。
数字を軽視するマネジメントには、可視化されにくい「損失」が潜んでいます。
その実態と構造を掘り下げてみましょう。
精度の低いPDCAで、努力が空回りする
数字を軽視する人の多くは、「なんとなくやって、なんとなく続ける」PDCAを回しています。
しかし、KPIや達成率が明確でなければ、成果は検証できません。
検証できないということは、改善もできない。
つまり、現場の努力が空回りする構造を、自ら作ってしまっているのです。
成果が属人的になり、再現性が失われる
数字を重視しないチームでは、成果が「誰かの腕前」に依存しがちです。
つまり、好成績の理由を数値で分析・分解できないため、「再現可能なノウハウ」にならないのです。
属人化した成功体験は、組織に残らず、人の異動や退職とともに消えていきます。
これは、人的資本の「目に見えない損失」とも言えるでしょう。
数字が語れないと、社内の信頼を失う
上司や他部門への報告で、定量的な根拠が出てこない人は、説明力や説得力に欠けると見なされます。
特に意思決定層では、「数字で語れない人」は「感情や思い込みで動く人」と判断されがちです。
これは、本人が知らぬ間に社内での信用を失っていくという、深刻な「見えない損失」です。
「感覚ベース」がチーム文化を腐らせる
数字に対する無関心は、やがて組織全体に伝染します。
「数字なんてどうでもいい」という空気が蔓延すると、誰も現状に疑問を持たなくなり、変化も成長も止まります。
その結果、「努力はしているのに成果が出ない」という不満と疲弊が広がり、メンバーが離れていく悪循環に陥ります。
数字は、冷たさではなく「思いやり」である
数字を扱うとは、メンバーの努力を「成果」としてきちんと認識することでもあります。
逆に数字をないがしろにすることは、誰の努力が成果に繋がったかを曖昧にすることでもあるのです。
数字を見ないマネジメントは、一見「温かい」ようでいて、実はチームに対して無関心であることが多いのです。
(本稿は、『リーダーの仮面』の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4500社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計174万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。










