イタリアで噴出した不要論
「まったく心配していない」の真意は

 来年6月にはアメリカ、カナダ、メキシコで共催される次回ワールドカップが待っている。2010年の南アフリカを皮切りに2014年のブラジル、2018年のロシア、そして前回2022年のカタールと4大会連続で出場し、日本が臨んだ15試合すべてで先発してきた長友が「伝説」の意味を補足した。

「前人未到の5大会にしっかりと出る、ということ。出るだけじゃなくてそこに自分がレギュラーとして、完全な戦力として、ワールドカップで優勝メンバーになること。それが目標です」

 長友が貫いてきた生き様のひとつに「逆境に直面するほどに燃えてくる」がある。

「僕は悩みの処理能力が早いんですよ。自分の強みというか、逆境が大好物なんでしょうね」

 自身の思考回路をこう語る長友にとって、今回飛び交った批判や不要論は間違いなく逆境だった。だからこそ燃え盛っているはずだったが、長友はこちらの想像を上回る「伝説」という言葉に言及した。

 長友が約7年間にわたって所属し、副キャプテンも務めたイタリアの名門インテルでは30歳に近づくにつれて、シーズンオフを迎えるたびに不要論や放出論がイタリアのメディアを騒がせた。

「本当にシンプルですけど、クラブに必要とされないのであれば荷物をまとめて出ていきます。自分が必要とされる場所で、輝きを放つための努力を積み重ねていくだけなのでまったく心配していません」

 こう笑い飛ばしていた長友はその後もトルコの名門ガラタサライ、フランスの強豪オリンピック・マルセイユに所属。2021年9月にプロの第一歩を踏み出した古巣・FC東京へ移籍するまで、ヨーロッパの舞台で約11年間にわたってプレーした。そして、年齢の壁は日本代表でも幾度となく指摘された。