これって大河…いや、朝ドラだ!北川景子と堤真一の「重厚な“光と影”」に引き込まれた〈ばけばけ第2回〉

北川景子と堤真一の風格

 その晩もしじみ。ろうそくの明かりの下での食事って食べ物がよく見えなくて、おいしさも半減ではないだろうか。そう思うと電気ってありがたい。

 ただ、テレビを観る分には、ろうそくの明かりはムードがある。

 もし生まれ変わってしじみになったら、フミの作ったしじみ汁の具になりたいとしみじみする司之介。曲解すれば、誰かの命が誰かの栄養になるという意味かなとも思うが、ベタベタにそういう言い方をしないで、なんかよくわからないセリフになっているのが脚本・ふじきみつ彦の才能だろう。

 トキもサワの影響を受けたのか、教師になると言う。それも祖父と父に武士でいてもらうため。娘をそんなふうにがんばらせて父と祖父のプライドは大丈夫?

 ここで主題歌。ハンバート ハンバートのゆったりした男女のハーモニーと、川島小鳥の撮影によるトキとヘブンの仲睦まじそうな写真がすてき。

 タイトルバック明け。蛇(渡辺江里子)と蛙(木村美穂)は雨清水家に移動している。というか、蛇と蛙は第1回では未来の東京にいた。蛇と蛙が長生きなのかはさておき、雨清水家は松野家の遠縁で、松野家よりももっと上級武士の家。トキはここにお稽古(お茶やお花に三味線など)に通っていた。

 キターーーと蛇と蛙。この家の主人の妻・タエ(北川景子)がしずしずと入って来た。北川景子の貫禄はすごい。

 稽古を辞めるというトキに「あなたは誰ですか?」と問い、「武士の娘は嗜みを身につけいずれ武士の夫を支える。つまり先生になどなりませぬ。もちろんほかの商いも」と表情を変えず、淡々と武士の家の矜持を語る。お着物をびしっと着て日本髪を結っているところから、超上級武士の家の妻として、武士としての生き方を守ろうと思っているようだ。

 と、そこへやってきたのは、傅(堤真一)。みんなが彼の顔をぼうぜんと見る。

 ざんぎり頭になっていたのだ。フミとトキは気を遣って褒めちぎるが、タエは憤慨し、眉をひそめる。

 だが、傅はさっぱりしたように「武士の時代はとうに終わりじゃ」と言い切り、これからは織物工場をはじめようと思っていると言いだす。

「こうば、こうば、こうば?」。工場の概念も具体的にはわかっていないのかもしれない。商いを始めると聞いて、激しく動揺するタエ。商人とはそんなに低く見られるものなのか。まあ『べらぼう』の時代を見ても、幕府と庶民の間には大きな川が流れている気がする。

 それにしても、北川景子が美し過ぎる。

 北川景子と堤真一が和の広間にいると、まるで――。