まるで大河ドラマ

 大河ドラマ。単に和装だからではない、ふたりの醸す空気が重厚なのだ。

 広間の縁側で三味線を弾くタエ。その奥の間の火鉢の前に座る傅。

 宣伝番組の『もうすぐ!「ばけばけ」』で、『ばけばけ』は光と影の表現に凝っていると紹介されていた。その一例として、この三味線タエと傅のシーンが映った。

 タエは陽光の差し込む縁側で弾いている。その奥で「もう武士ではいられんのじゃ」と語る傅のところまでは光が届かず、彼は陰の中にいる。新時代が彼にとって決して明るいわけではないのだろう。むしろ、武士の世界を守りたいタエに光が当たっている。だが、その光は斜陽である。

 太陽は落ちかかっている。それでも、顔をまっすぐあげて、凛としている北川景子は『どうする家康』で戦に負けそうながらも、誇りを失わない、お市や茶々を演じたときのようだった。誇り高く滅びていく人物は北川景子に似合う。

 そうとは知らず、松野家ではトキが「叔父様」「叔父様」と傅びいきで、司之介を嫉妬させる。とはいえ、トキと司之介はそういうことを冗談として遊べる風通しのいい父娘だ。

 司之介も、貧しい松野家をなんとかしようと考えていて。ある日、家にウサギを連れて来た。

 トキはそのかわいさに目を奪われる。やはり子どもと動物は強い。子役俳優のみならず、小動物まで登場させるとは気合の入った第1週だ。

これって大河…いや、朝ドラだ!北川景子と堤真一の「重厚な“光と影”」に引き込まれた〈ばけばけ第2回〉

これって大河…いや、朝ドラだ!北川景子と堤真一の「重厚な“光と影”」に引き込まれた〈ばけばけ第2回〉