私がおすすめするその第一歩は、睡眠時間を増やしたくなる成功体験をつくることです。いつもよりも長く眠れた日の精神状況(やる気)、仕事や勉強の能率、トレーニングのパフォーマンスを感じてください。それを、日頃の睡眠時や睡眠不足時と比較してください。

 10段階でスコア化して比較してもよいでしょう。明らかな違いが理解できるはずです。

 この状態で長期間過ごしたときに到達しているであろう最強の自分の姿を想像する。

 この成功体験と将来への期待値が、あなたの睡眠意識を高めてくれて、実際に睡眠時間を増やそうとする行動を起こす原動力、心のエネルギーとなるのです。

 そして次に、自分自身の睡眠時間を知ることが大切です。たとえば、ベンチプレスで100㎏を挙げたいと思ったら、まず現在、挙上できる重量を知って計画を立てていく必要があるように、自分の現状を把握することが目標達成への道筋をつくる鍵となります。

 私は毎日、自分の睡眠時間を測定しました。これを1週間続けることで、平均睡眠時間が見えてきます。5時間なのか、6時間なのか。自身の睡眠時間の実態を知ることができれば、あとどれだけ増やせばよいのかがわかり、計画を立てることができます。

 ちなみに、日本の平均睡眠時間は経済協力開発機構(OECD)の調査によると、7時間22分(2021年発表)。これは先進33カ国(平均8時間28分)で最下位であり、改善する余地しかありません。

 もしこれが布団に入っている時間だとしたら、実際に眠ることができている真の睡眠時間はもっと少ないです。このあたりの数値も、現在の睡眠測定アプリは出してくれます。

睡眠時間を10分増やす

 次のステップで、実際に睡眠時間を増やす行動に移ります。平均5時間だったところからいきなり2時間増やすのは現実的に難しいでしょう。そこで、まずはプラス10分の睡眠時間を確保することからはじめます。

 生活を整理し、10分を捻出するために自分の行動を見直してみるのです。私自身も、1日の行動を書き出してみて、削れる時間を探してみました。

 10分であれば比較的削りやすく、実現可能な目標といえます。