経験上、一番削りやすいのはSNSを眺める時間でした。もちろん、SNSが情報収集やリラックスの手段となる場合もあることは理解しています。ただ、プラス10分の睡眠時間の重要性と比較すれば、その差は歴然です。
プラス10分を達成したら、翌月は30分、そして1時間……さらに小刻みに、毎月10分ずつ増やす方法もおすすめです。これなら負担は少ないですし、1年後にはなんと2時間もアップ。ほとんどの方が十分な睡眠時間に達しているはずです。
寝具を見直す
睡眠の量(時間)をしっかり確保できたら、次に取り組むのは質(深さ)の改善です。睡眠の質に目を向けると、できることの選択肢が一気に増えます。
私の場合、最初に注目したのは寝具(枕+マットレス)でした。そのなかで特に意識したのが「身体各部位への圧刺激を減らすこと=体圧を分散すること」です。
寝具の見直しは、睡眠の深さ(質)を高めるために非常に効果的なアプローチであり、深い睡眠は結果として中途覚醒も防ぎ、真の睡眠時間を増やしてくれる可能性もあります。
そして、異常に高いものを買うわけでもなく、一度買ってしまえば入眠前行動が増えるわけでもなく、とてもパフォーマンスの高い睡眠改善手法だと思います。
脳は、眠っている間だけ休むことができます。ただしその前提として、光や音、触覚といった外部からの刺激が最小限に抑えられている必要があります。そうでないと、せっかく寝ているのに脳は微妙に仕事をさせられ続けてしまうのです。
マットレス(敷布団)のサポート力も、その刺激のひとつです。マットレス(ベッドのフレームに置くマットも含めてマットレスと表現します)が身体をサポートする力が強いということは、身体を下から押し上げる力が強いということです。
ベッドに入っている間ずっと、身体各部位から脳に対して「圧が加わっています」という情報が報告され続け、脳は「不快である。寝返りしてください」と筋肉に命令を出します。脳は、休みたいのに働かされている状態に陥り、睡眠の質が低下してしまいます(ここで「脳」とは神経系のことで、大脳だけを意味するものではありません。わかりやすい表現になるようにしました)。