少しでも違和感を抱く寝具を使っていると、長期的に大きな損失を招くと考えてください。

 最後に、前述のエビデンスでは、マットレスの通気性についても語られています。背中の筋肉が発する熱がこもると睡眠の質が下がり、また中途覚醒につながってしまいます。

 背中トレをやり切ったあと、あるいは背中の筋肉痛が強い日に入眠しにくい、中途覚醒する、という方はこの点も寝具選びの参考にしていただければと思います。

首や肩甲骨を自然に支える枕

「睡眠の質を高めるために枕の選び方は重要」と、さまざまな場面で耳にしたことがあると思います。商品もたくさん見てきたことでしょう。それほど枕が睡眠において大切な存在であり、多くの方が気にしているのは間違いありません。

 枕で着目すべきは、高さ、形状、素材です。これらの要素が合っていない枕の場合、首や肩に負担がかかるだけでなく、呼吸まで妨げ、結果として睡眠の質が低下します。

 かなり重要な睡眠アイテムにもかかわらず、手付かずの人も多いはず。しかしこれはチャンスです。適切な枕を選ぶだけで、快適な睡眠へとかなり近づけることができるのです。

 一度、専門店に足を運んでみてください。専門スタッフが頭、首、肩甲帯(肩甲骨周辺)のアライメント(骨の位置)を計測し、それに基づいて枕に綿を詰めてくれます。仰向けで寝る場合、理想の枕の高さは約3~5cm程度とされていますが、この高さも含めて個人に合わせてくれます。

 もちろん形状もその人の身体に合わせてアレンジしてくれます。肩甲骨上端から、首そして頭にかけての隙間に綿を詰めることで埋め、背骨の生理的な湾曲(カーブ)をサポートしてくれます。

 背骨は、胸が後弯し(後ろに凸)、首は反対に前弯しており(前に凸)、寝たときもこの状態が保てれば関節や筋肉にストレスがないだけでなく、首を通る気道を狭めずに呼吸もしやすくなります。横向きで寝る場合は、肩のサイズに応じて高さが必要です(約7~9cm程度)。