マットレスの刺激と体圧を整える
ここで覚えておいていただきたい言葉が「体圧分散」です。私たちは寝ている間、無意識に寝返りを打つことで、同じ部分に体重がかかり続け、血流が滞る=組織が傷害されるのを防いでいます。
マットレスが硬すぎる場合、身体のどこか一部位に強く圧がかかります。これが体圧分散の偏った状況で、寝返りが必要になります。
私であれば特に大臀筋。死ぬほどつらいブルガリアンスクワットで筋肥大をさせた大臀筋が睡眠の邪魔をする。なんと悲しい物語でしょうか。
巨大化し、ほかの部位よりも出っ張った大臀筋をマットレスが押し上げることになり、臀部が痛くなってくる。さらに、臀部=骨盤が押し上げられ、腰椎の自然な前弯が増強され、腰部へのストレスまで生む。
脳だけでなく、身体も悲鳴を上げるのです。したがって、私は臀部が沈み込んで包み込むように支えてくれるマットレスを好みます。ホモ・サピエンスの肉体から逸脱せんとする私が、通常のマットレスに支えてもらおうなど、こんな不合理な話がまかり通るはずありません。
あるいは柔らかすぎる場合、自然な寝返りも難しくなります。そして身体の支え=サポートが弱すぎると、身体が安定しません。身体が安定しない場合、筋活動で身体を固定する必要がある=脳からの命令伝達が必要、なのです。この状態も同様に、脳も筋肉も休めません。
私自身、さまざまなマットレスを試しました。低反発すぎるものでは体が沈みすぎて動きにくく、高反発すぎるものでは臀部が押し上げられ体圧分散に偏りが出てしまいます。
私にとって理想的なマットレスは、適度に沈み込み、身体のどこか一部に圧力が強く加わらないよう(=適切な体圧分散)全身を支えてくれるものです。
実際にそうしたエビデンスもあり、適切なマットレスは睡眠の質や、脊椎のアライメント( ≒腰椎の状態)も改善すると報告されています。実際、寝具を見直すことで、翌朝のスッキリ感、身体各部位のコンディション(私は特に臀部と腰部)、そしてトレーニングの集中力やパフォーマンスが向上しました。トレーニング前の腰部へのコンディショニング(アップ)も削減=無駄時間や体力浪費の削減にもなり、メリットは大きいです。