女性の中でもリスク回避度が低い人が管理職になる傾向が高いか、もしくは管理職にはリスクテイキングも時には求められるため、そうした行動特性を経験やトレーニングを通じて身につけたのかもしれない(注5)。

「たぶんオレが一番だろう」
男性は自信過剰になりやすい

 女性に比べ男性は自信過剰に陥りやすいことも広く知られている。

 昔、どぶろっくというお笑い芸人が、「もしかしてだけど、もしかしてだけど、それっておいらを誘ってるんじゃないの?」と、自分の周りの女性が自分に恋愛感情を持っているのではないかと妄想するシーンを歌にしていたが、それが笑いを誘うのは、そうした自信過剰男性に誰しも覚えがあるからではないだろうか。

 また、自分の車の運転の熟練度をどう評価しますかと質問すると、大多数の男性が「平均より上」を選ぶ。

 ミューリエル・ニーダールとリーゼ・ヴェスタールンド(注6)の有名な実験では、被験者に5つの2桁数字の足し算作業を5分間行わせ、正答数に基づき、出来高制(1問につき50セントの報酬)、トーナメント制(4人1組で正答数で競争し、トップになったら1問につき2ドルの報酬)の2種類の方法で1セッションずつ報酬を支払い、その後3セッション目で、出来高制かトーナメント制かを選ばせた。

注5 Johnson,J. E. V. and P. L.Powell(1994)“Decision Making, Risk and Gender: AreManagers Different?”,British Journal of Management 5(2):123-138.
注6 Niederle,Muriel and Lise Vesterlund(2007)“Do Women Shy Away from Competition? Do Men Compete Too Much?”,Quarterly Journal of Economics 122(3):1067-1101.