結婚後の自由恋愛を含む考え方
1970年代に社会学者が提唱

 オープンマリッジはもともと1970年代にアメリカの社会学者オニール夫妻によって提唱されたもので、従来の結婚観に縛られず、夫婦がお互いを社会的・性的に独立した個人として認め合うことでより有益な関係を築いていくことを目標としている。

 オニール夫妻の提唱がどういうものであったのかは別にして、ヒカル氏がアップした説明動画を見ると「浮気OK」や「ハーレム」といった言葉が使われていて、これでは「オープンマリッジ」には相互の成熟などの崇高な理念はあまりなさそうに見えてしまう。

 自分の性の目的を達成するための方便として用いられているトーンが強めに受け取れるのである。本格的なオープンマリッジ実践者にとってはたまったものではないかもしれない。

 では「セカンドパートナー」はどうか。これは日本での造語で、初出は定かでないが、認知が広がったのは先に触れた2023年のあやなんの件である。

「プラトニック」と銘打たれてるものの、じゃあ「手をつないだりハグをしたりするのは浮気じゃないのか」とか「心の浮気は『浮気』でしょう」とか、線引きの加減が人の数だけあって定義が難しく、「セカンドパートナーがいるならどっちみち浮気」とする考え方もある。

 また、セカンドパートナーとのプラトニックな一線を越えた経験を持つ割合が男性76%・女性64.4%という、なかなかショッキングなデータもある(Healmate、2024年)。

 このほかに似たコンセプトを持つスタイルとして「ポリアモリー」というのがある。制度に縛られることなく、恋愛関係のパートナーを一人に絞らず複数いても可とする……ただし念を押されている必須要素があって、それは「透明性」である。その恋愛関係を各パートナーが承知・合意していることが前提となる。

 日本ではまだこの語を知る人が1割前後に留まっているようだが、アメリカでは1990年代に広まって、実践者は少ないが知る人は多い。