触りながら学んで
試行錯誤してみよう!

 他方、現代においては、新しいテクノロジーが次から次に出てくるせいで、もはやどれが有益なのかよくわからないということも、「ミーハーする」が失われてしまう原因かもしれません。

 新しいものにはやはり「玉石混淆」の側面があります。

 なかには、本当にすぐ消えてしまう一過性のサービスもありますし、企業側が話題づくりとしてこっそり「バズ」を仕掛けているようなケースもあります。

 それを踏まえるなら、最新のテクノロジーを「すべて活用する」というのは現実的ではないでしょう。

 ただ、もしそうなのだとしても、「新しいものをとにかくいったんいじってみよう」とする姿勢は、学びをやめない生き方にとってきわめて重要です。

 ひとまず手を動かして試行錯誤するなかで、物事の仕組みを理解したり、新しいアイデアを生み出したりする――そうした学びのスタイルは「ティンカリング(Tinkering)」と呼ばれています。

 これはもともと、昔のヨーロッパで鍋や道具の修理をして回った「修理屋(Tinker)」に由来する言葉です。

 子どもが新しいおもちゃで遊ぶときには、いちいち説明書を読んだりしません。

『学びをやめない生き方入門』『学びをやめない生き方入門』(中原 淳ほか、テオリア)

 とにかく触って試してみながら、その遊び方を発見・創造していきます。

 このようなティンカリングのプロセスは、人々の創造性を刺激し、革新的な解決策を生み出すことにもつながります。

「ミーハーする」は、まさにこのティンカリングに通ずる学びのあり方なのです。

 現代では、ほとんどの最新テクノロジーは、ひとまず無料で試せるようになっています。

 それほどお金や時間をかける必要もないため、リスクはほとんどありません。「気軽に試してみて、合わなければやめればいい」――それくらいの感覚で、「いったんいじってみる」ことが大切なのです。