飲食とは無縁のキャリアを歩んできた人材が次々と集まるラーメン店写真はイメージです Photo:PIXTA

消防士、ゼネコン、大手通信キャリアまで、まるで飲食とは無縁のキャリアを歩んできた人材が次々と集まるラーメン店がある。しかも、その職場に長く根づき、活躍しているというのだ。一般的な採用や育成には留まらず、出戻り採用という斬新な戦略など、人を惹きつける工夫がそこにはあった。※本稿は、生田悟志『すごい!ラーメン凪の仕組みと人づくり――全世界100店舗!売上10倍!社員定着率85%!』(あさ出版)の一部を抜粋・編集したものです。

異業種から“凪”へ転職し
活躍する社員たち

 凪は中途採用(凪では「ココカラ採用」と呼んでいます)の社員が全体の9割以上を占める組織です。彼らのほとんどがラーメン業界からの転職かというと、必ずしもそうではなく、焼肉、寿司、牛丼など他の飲食業出身者もいるし、ゼネコンや消防士、携帯電話の営業マンといったまったくの異業種出身者、上場企業出身者もいます。

 皆、さまざまなバックグラウンドを持ち、さまざまな理由で凪に入社し、さまざまな苦労を重ねながら、それを乗り越え、成長を続けています。凪はココカラ採用の社員に支えられ、彼らの成長を原動力に、会社としても成長を続けているのです。

 何人かの声を紹介しましょう。

「前職は消防士でした。年功序列ではなく、頑張っただけ認められるのが魅力です。うちの店のメンバーが、他のお店の手伝いに行って『黒川さんのところのスタッフはすごくいいね』と褒められたりすると、本当に嬉しいです。2023年に優秀社員賞として、会社から表彰していただいたのですが、うちの店のスタッフも同時に受賞して、ダブルの喜びでした。私たちは、1人で仕事しているわけではなく、チャーシューを切ってくれる人がいるから、もう1人が調理をできるわけです。チームで仕事をする大切さをすごく意識しています」(黒川裕麻・店主)