ただ、彼自身は塾に通いたかったようです。これは、勉強したかったのではなく、塾に通っている友達が、みんな塾終わりに夜遅くまで公園で話したり、遊んだりしている様子を見て、うらやましく思ったから。子どもが「塾に行きたい」と言い出した時、それが本当に勉強したいからであるかどうかは見極める必要がありそうです。

 高校受験では、当時彼の姉が通っていた県内トップクラスの公立高校を選択。家から非常に近かったこともあり、その学校一択だったようです。もちろん合格して、第一志望の高校へ通います。

部活動と並行した塾通いは
「オーバーワーク」と判断

 高校に入ってからは、それなりの成績を維持しながら、ずっと部活に打ち込み続けていました。朝から晩まで野球漬け、帰ってから1~2時間程度勉強するというルーティンを続ける毎日。幸いにも成績は順調に上昇したようです。

 高校2年生の終わりに東京大学を志望し始めた永田さんですが、塾には通っていませんでした。この理由を彼は「学校をもう1つ増やすのが嫌だったから」と振り返ります。彼は塾に通った経験がなく、塾を学校の延長としか捉えていませんでした。

 もともと部活に忙しかった彼は、高校での学習内容を完璧に理解していたわけではなかったので、まずは「授業内容の復習」が必須要件でした。仮に塾通いをした場合、これに追加でさらに「塾の授業の復習」「塾の授業の宿題」「塾の授業の予習」をしなくてはいけません。そして、彼には自分がそれらをすべて捌き切る自信がありませんでした。

 そのため、塾に「通えなかった」のではなく、「通わなかった」のだといいます。オーバーワークになってしまっては、意味がありませんから、この決断は英断だったでしょう。