
日本の生活習慣こそ
創造性を支える「見えざる強み」
スタンフォードの光景は、私に日本の教育の価値を再認識させてくれました。掃除も挨拶も食事のマナーも、日本人にとっては当たり前のことなので、その本当の価値を見過ごしてしまいがちです。しかし、グローバルな視点で見れば、日本の幼児教育が育む生活習慣のレベルの高さは驚異的なのです。
規律を重んじる日本の教育は、自由な発想を妨げるように思えるかもしれません。しかし、私はその規律こそが、自由な発想を真に活かすための土台になると考えています。
しっかりとした生活習慣という土台があってこそ、人は安心して新しい挑戦ができるのではないでしょうか。例えば、整理整頓された環境は、心を落ち着かせ、思考をクリアにします。生活の基盤が整っていることは、創造的な活動に没頭するための前提条件とも言えるのです。
また、他者への配慮や協調性を知っているからこそ、多様な人々と協力し、より大きなイノベーションを生み出すことができます。チームの中で自分の役割を果たし、他者の才能を引き出し、相乗効果を生み出す力。これは、日本の集団主義的な文化が育んできた、世界に誇るべき強みです。
床にはみ出して描かれたクレヨンの線は、自由な感性の象徴かもしれません。しかし、その床を次に使うお友達が気持ちよく過ごせるように、後片付けまできちんとできてこそ、その自己表現は真に社会の中で価値を持つのではないでしょうか。自由とは、決して無秩序と同義ではないのです。