「その人は、スマホを見ながら、あたりをキョロキョロし、他の席に座りました。指定席車両なのに、なんだか怪しい。おじさんのスマホ画面を見てみると、『スマートEX』を開いていることがわかりました」

 スマートEXとは、JR東海の新幹線予約アプリのこと。空席が一覧で表示され、それをタップして予約ができる便利なシステムです。

「おじさんは、今乗っている列車の空席情報をスマートEXで調べ、人が来なさそうな席を見つけて、渡り歩いているようなんです。なぜ私の席に座っていたかというと、私が乗る直前に席を押さえたため、おじさんが乗る時にはまだ空席表示だったからでしょう。おそらくおじさんは、自由席料金で乗っているのでしょうね。セコい、セコすぎる!」

 ちなみに東海道新幹線で東京から新大阪まで普通車指定席は1万4720円、自由席は1万3870円(通常期)。差額は850円です。ラーメン1杯ほどの値段を節約しようとして、人に迷惑をかけるのは言語道断。仮に自由席券で指定席車両を利用していたら、もちろん不正乗車に当たります。

「ここは私の席ですよ」と伝えても
窓の外を向いたまま終始無視

「席に行ったら人がいた」は、グリーン車でも起きているようです。「グリーン車での優雅な時間を台無しにされました」とあきれながら報告するのは会社経営の女性・Bさん(60代)です。

「新幹線のグリーン車に乗った時のことです。指定された席に行くと、そこには一人のアジア系の女性が座っていました。席を間違えたのかなと思い、『ここは私の席ですよ』と伝えました。すると、その女性は無視」

 初めは言葉が通じないからかと思ったBさん。

「チケットを見せながら『マイシート!』と何度も伝えました。それにもシカトです。私の顔も見ず、窓の外を向いたまま終始無視を決め込んだんです。信じられない」

車掌が説得を繰り返すと
ようやく席を立ったが…

 Bさんは業を煮やして車掌を呼びます。

「車掌さんは女性に『席を移動してください』『グリーン券を見せてください』と繰り返し要求しました。それでも女性は無視するばかり。我々が声をかけ続けて数分、やっと『しょうがないな』と言った顔つきで席を立ちました。なんて人だと思い、私は安心して席に座ったのですが……」

「しかし、驚くのはここから。その女性は別の空いているグリーン席に座り直したんです。ほかの乗客たちは我々の騒ぎを見ていたので『マジかよ』という空気が流れました。車掌さんはその後も粘り強く「ノー!ノー!」「チケットを見せて」と注意し続け、最終的には女性をグリーン車両から追い出しました」

 問題の人物がやっといなくなり、車内に平和が戻ったと思いきや……。さらに信じがたいことが起きたと言います。