この冷たい油から揚げるアプローチを紹介すると必ず「1枚ならわかるんですが、たくさんつくりたいときはどうするんですか?」と聞かれますが、揚げ終わった油に残りを投入すればいいだけです。衣に水分をたっぷりと含んだ鶏肉を入れれば油の温度はすぐに下がるからで、すべてを入れたら同じように中火で加熱しましょう。

 1度、揚がった鶏肉を2分~3分冷まし、190℃の油でもう一度揚げると外側に移行した水分が取り除かれ、表面がさらにカリッとします。これを「二度揚げ」といい、お弁当など時間が経ってから食べる場合には特に有効なテクニックです。

揚げた油は捨てずに
何度も再利用しよう

 さて、使った油はどのように処理すればいいのでしょうか。

「油は酸化するから、長く使わないほうがいい」

 というのはよく聞く話。しかし、じつは精製度の高い油はちょっとのことでは酸化=劣化しません。

 ある大学で調理実習に2カ月ほど使い続けた油を調査したところ、酸化はほとんど進行していませんでした。じつは一般的な揚げ物の温度範囲では油はそうかんたんに悪くならないので、かなりの回数使えるのです。

「かなりの回数って、どれくらい使えるんですか?」

 こう書くとこんなふうな疑問を持たれると思いますが、油の使用には明確な基準があるわけではなく、自分で判断するしかありません。一般的に油を加熱して細かい泡が出てくるようであれば油が汚れている証拠で、交換する目安です。

 揚げ物に必要な道具が「オイルポット」という油を濾す網とポットがセットになった保存容器です。使った油を濾過し、保存しておけば、くり返し使えるので揚げ物のコストがかなり抑えられますし、捨てる手間が減るので揚げ物が苦にならなくなります。

 油は何度も使ってもいいのです。

油を捨てる方法は
大きく分けて3つ

 ただ、たしかに油は酸化したり、劣化すると上手に揚がらないだけではなく、身体に悪いので使うべきではありません。油が悪くなる原因は加熱による酸化ではなく、食材から滲み出てきた成分の影響が大きく、天ぷらやトンカツのように衣が厚い料理であれば油の劣化が少なく、何度でも使えます。