ただ、「受動型自閉症」と呼ばれるタイプのASDでは、約束を断れない子どももいます。断れないためにストレスが強くなり、結局、約束の場所に行かないなどということが起こるのです。

 これを繰り返すと、対人関係そのものがだんだん苦痛になり、不登校へつながることもあります。

 そのため、具体的な「約束の断り方」を教えないといけません。

「今日は習い事があるから」とか、「今日は家の用事があるんだ」とか、具体的な理由を挙げて断るスキルを身に付けられるように保護者がサポートしましょう。

 高校生以上であれば、スマホのアプリでスケジュール管理をします。約束を守りやすくなったり、断ったりできるようになります。

もしもわが子が友だちの物を盗んでしまったら、親は大げさすぎるくらいに謝るべき深い理由同書より転載

他人の家での振る舞い方を
「具体的」に教えよう

 他人の家でも、まるで自宅のように振舞ってしまう子どもがいます。

 冷蔵庫を勝手に開けて飲み物を取ろうとしたり、棚を開けてお菓子を食べようとしたり、あらゆる引き出しを開けたり、友だちのベッドに入ったり、お風呂に入ろうとしたりした事例を私は知っています。

 通常、他人の家での振舞い方やルールを学ぶ機会はありません。

 学んでいないために、自宅のように振舞ってしまうのです。

 そのため、他人の家での振舞い方やルールについて、大人は子どもへ具体的に教える必要があります。

 子どもの友だちの家で練習をさせてもらうのはよっぽど仲がよくないと難しいでしょうから、最初は両親のどちらかの実家や、親戚の家などで練習できるのが理想でしょう。