また、メールへの返信の速さや報連相など、仕事の基本が徹底されているかも評価につながるポイントです。

 周りの人に「この人、頑張っているな」と思われれば、「困っているから教えよう」「成果が出るように手伝ってあげよう」と動いてもらえるようにもなります。当社の新人でも成果を比較的早く出してくる社員を見ていると、最初にベテラン社員を味方につけています。

 入社当初は「一生懸命、言ったことをちゃんとやってきます」「朝早く来て、元気に頑張っています」といった評判で、それから半年くらいたつと「気合だけではなく、かなり能力高いですね」という評価が聞こえ出し、実際に業績も出てくるようになりました。最初の数カ月くらいは、客観的に見て頑張っていることが評価を得るうえで重要です。

 会社から見ると、中途社員が入社してから成果を出すまでの収支は「赤字」です。これは中途採用で必然的に生じる現象ですが、赤字の人でも給与を支払ってもらえるありがたさは、きちんと感じたほうがよいでしょう。そうすれば自分の赤字を補填してくれている他の社員に対する感謝の念が生まれ、積極的に周囲と馴染み、貢献しようとする姿勢につながります。

エグゼクティブは
3カ月で小さな成果を

 以上は主に一般社員を想定した話ですが、エグゼクティブになると「成果」という要素が非常に強まります。

 あるエグゼクティブの方は「新しい組織に入ったときは、3カ月を目安に小さくてもよいので何らかの成果を出すよう緊張感を持って取り組んでいる」と話していました。

 3カ月で大きな成果を出すのは難しくても、ちょっとした業務改善など小さくても何らかの成果が出てくれば「ちゃんと仕事ができるんだな」「あの人が入って変わりそうだな」と認識され、先々の仕事もやりやすくなるからです。

 転職で中途入社した直後は、周囲から多くの注目を集めている時期です。ここで周囲の信頼を得られれば、後に成果を出しやすくなっていきます。

 一般社員は入社1カ月の間に積極的に貢献する姿勢を印象付け、マネージャークラス以上は3カ月の間に小さな成果を上げることが、新しい組織での評価を得る上で一つの目安になると思います。