「休廃業・解散」は
年間7万件ペース

 倒産だけでなく、休業、廃業、解散という形で事業を終了させている企業も増加している。帝国データバンクの調査によると、2025年の全国の休廃業・解散件数は1~9月で約5万2300件となり、2016年の調査開始以降最多の2024年(通年で6万9019件)の同期の件数を5.4%上回った。これは2025年1~9月に発生した全国企業倒産件数(7619件)の6.9倍にあたる。このままのペースで推移すると2025年(通年)の休廃業・解散件数は初めて7万件を超える可能性がある。

 休廃業・解散が増加している背景として、経営者の高齢化や後継者不在のほか、業績悪化に伴う事業継続の断念(資金に余裕のあるうちに事業を畳む)などが挙げられるが、「代表の病気・死亡が主因となった倒産」も経営者の高齢化や後継者が居ないことが理由となって増え続けている。

 代表の病気・死亡が主因となった倒産は2024年に316件となり、過去最多を記録。2020年(222件)以降の4年間で42.3%増加した。2025年は1~9月で249件となり、2024年を上回るペースで推移。倒産全体の3.3%を占めている。

 今後は、さらに深刻化する高齢化問題とともにその構成比は上昇し続け、「景気や業績に関係なく増え続ける倒産」として、これまで以上に動向が注目されることになる。特に中小企業の審査においては、財務諸表だけではなく、社長の年齢や健康状態、後継者の有無などを確認することの重要性が増すことになる。