最初は新鮮だった仕事に慣れるにつれて情熱を失い、機械的な対応に陥るチームメンバーにリーダーは悩みがちです。彼らが意欲を失う背景には、自分の仕事が組織に貢献していないと感じるという「仕事の意義」の認識不足があります。しかし、リーダーからの働きかけにより、仕事が組織に与える影響や重要性に気づかせ、メンバーの意欲(モチベーション)とパフォーマンスを回復させることが可能です。
そこで参考にしたいのが、世界中で行われた経営学、心理学、経済学等の研究成果をもとに、グロービス経営大学院の教授陣が協力して書いたチーム・ウェルビーイングの教科書。「チームリーダーにできるちょっとしたコツ」をまとめた一冊『職場を上手にモチベートする科学的方法――無理なくやる気を引き出せる26のスキル』
今回は、同書から特別に抜粋・再編集し、実際に行われた実験を通じて、ワーク・エンゲージメントが以前より2.4倍に増加したという事例を含めて、予算や権限も必要のない、チームリーダーのノウハウを紹介します。

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単調な仕事が続き、モチベーションが上がらない

 コールセンターでチームリーダーを務める山岡さんは、スタッフのやる気が低いことに悩んでいます。顧客からの問い合わせなどに応対するスタッフの業務はどうしても繰り返しが多く、単調になりがちです。スタッフも淡々と仕事をこなすだけで、顧客対応もどこか機械的です。これでは顧客満足度もなかなか上がりません。

 仕事の内容がワクワクするものでいつも楽しければよいのですが、実際は、どんな職場にも地味で繰り返しの多いタスクがあります。たとえばデータの入力や整理、商品の棚卸しや品質チェック、文書のチェック、スケジュール管理など。こうした業務では単調な作業が続きがちです。

 そうするとモチベーションを維持することができず、ワーク・エンゲージメントも下がりがちになります。何よりも本人が仕事にやりがいを感じられません。

 このケースで山岡さんにできることはあるのでしょうか。