「チームに一体感がなく、メンバーは孤独を感じている」
――もしあなたがこのような悩みを抱えているなら、本記事はきっとお役に立ちます。多くのチームリーダーは、チーム内の人間関係を改善し、メンバーのやる気を引き出すことに頭を悩ませています。仕事の難易度が上がり、人手不足が深刻化する現代において、効率化を追求するあまり、メンバー同士のつながりが希薄になるという課題に直面しているチームも少なくありません。
そこで参考にしたいのが、世界中で行われた経営学、心理学、経済学等の研究成果をもとに、グロービス経営大学院の教授陣が協力して書いたチーム・ウェルビーイングの教科書。「チームリーダーにできるちょっとしたのコツ」をまとめた一冊『職場を上手にモチベートする科学的方法――無理なくやる気を引き出せる26のスキル』。
今回は、同書から特別に抜粋・再編集し、主体的に働ける職場を築くための「ソーシャル・サポート」「感謝」「雑談」といったコミュニケーションの具体的な実践方法を紹介し、あなたのチームを前向きで生産性の高い状態へと導くヒントを提供します。

みんな自分のことしか考えない
30代のチームリーダー広田さんは、次のような悩みを抱えています。
「若手のころに所属していた部署では、不慣れな仕事が多かったけど周りのメンバーがそれとなく気にかけて助けてくれたので、不思議とつらくはなかったんですよね。自分もリーダーとして、あのようなチームにしたいと思っているのですが。
今のチームもけっして仲が悪いわけではないのですが、みんな自分に割り当てられた仕事だけをしていて、周りを気にかけないというか……」
同じような仕事をしていても、誰かに困り事があれば手を差し伸べあうようなチームと、そうでないチームとでは疲れ具合が異なるというのは、多くの方がうなずかれることでしょう。
実際に、周りの人たちからの支援(ソーシャル・サポート)を多く受けた日には、いつもよりワーク・エンゲージメントが高まるほか、メンタルヘルスの水準が向上することも明らかになっています[1]。
リーダーからメンバーへのサポートだけでなく、チーム全体をソーシャル・サポートがあふれる場とするには、どうすればよいのでしょうか。