「北川さんと…」“よかった”と思った意外な発見

撮影スタジオに建てられたセットに入り、「サイズの合っていない大きい法被を着せられて、ただ、何をしていいかわからないまま社長の机に座っている場面では、衣装を着て、あまり日の光が入っていないちょっと暗い空間に座っていると、三ノ丞の気持ちがわかるような気がしました」と話す様子には感受性の高さを感じた。
『ばけばけ』橋爪國臣チーフプロデューサーは、三之丞をやれるのは板垣さんしかいないと信頼を寄せている。
「雨清水家は、ドラマのなかで違う色を出さないといけないし、堤真一さんと北川景子さんから生まれた子どもとして、説得力のある雰囲気を出せる俳優は稀有だと思うのですが、それができるのは板垣さんしかいないと思いました。
名家の三男坊で、跡継ぎとして期待されていなかったがなんとかやっていかないといけないという立場の役に、板垣さんが持っている力を存分に発揮してもらえると思いました。家のなかで一人だけ違う方向を向いているような三之丞の芝居は、グッと胸にきて泣けました」(橋爪)
板垣さんは、堤真一さんと北川景子さんから生まれた子どもであることを意識したのだろうか。
「北川さんとはお仕事をご一緒するのが今回で3回目で、2回目は大河ドラマ『どうする家康』(23年)でした。そこでは直接的な関わりはなくて、最初にご一緒したのが映画『約束のネバーランド』(20年)でそのときも北川さんはママ(孤児院のシスター)だったんです。
北川さんとは今回は本当の母と子を演じることができました。堤さんも映画で同じシーンはなかったのですが共演したことがあるのと、出演作もたくさん拝見しています。そんなおふたりが両親を演じてくださることがすごくうれしくて。
だからといって、自分でそんなにおふたりの子どもの役だと意識して演じてはいないのですが、三之丞が初登場したとき、北川さんと顔のパーツの配置のバランスや比率が同じと感想を頂いて、そう見えて良かったなと思いました(笑)」