若手社員一括りに考えるのはNG
それぞれの成長意欲を見極める
一方でA君というのはそつなく優秀な人のようです。いつも丁寧で低姿勢で、こちらが動きやすいように考えてくれます。
「納期まで日数が少なくて申し訳ないです。僕がやれるところはやりますので、おっしゃってください。何か阻害要因があれば、調べますのですぐに言ってください」
と言ってくるのだそうです。
「あ、わかりました。頑張って仕上げます」と、言わざるを得ないのだそう。
いったいどこでその仕事スタイルを覚えてきたのか。Fさんは続けます。
「A君は20代で当社がすでに3社目という若手のホープ。だいたい2年から3年ぐらいで会社を移っているようですが、これまで外資系の会社もありましたね。
A君を見ていると、いろいろな会社で学び、吸収しながら、先々のために人脈作りをしているのかな?とさえ思えます。社内人脈ではなく、グローバル社会全体の人脈ですね。一度、将来のビジョンを詳しく訊いてみたいと思います。これから先、A君が転職して別の会社に行ったら、『うちに仕事をくださいね!』と言いたいくらいの気持ちですね」

A君、B君、それぞれタイプは違えど、成長したいと考えているのは同じです。「仕事を通して成長したい」、だったらどうするか、という方法論が大きく違うわけです。
若手の中にもさまざまなタイプがいる。両極端な2人ですが、若手はこうだから、と決めつけないで、個人の個性に向き合うことも大事なことだとわかるエピソードでした。
この記事を書く目的は、一見不可解に見られがちな若手社員の行動を、決して糾弾するためではありません。違いを理解して、向き合っていこうというものです。そのためには若手の傾向は理解しながらも、「決めつけ」は良くないということを言い添えます。生育環境も違えば、それまでの職場経験も違うのですから。ただ、ベースにあるのは同じ時代背景ですから、同じ潮流の中にいることには変わりありません。